暇記

カキーン

移動時間にふと綴る。

2016年12月10日からはじまった関ジャニ’s エイターテインメントツアーがあと5日で終わりを迎える。

幸か不幸かドームツアーはチケットが手に入りやすいというのもあって、今回も複数回なんとな〜く行けてしまっているのですが、とにかく七人とも相変わらずオモロかっこいい(…)し、何よりも今回は単純に"楽しい"。ストレスフリーな、実に楽しいツアーである。

もちろん全てが完全無欠!パーフェクト!とは思わないし、「何故このタイミング?!」と思う箇所がないわけでもないし、私見意見ただの文句、日々いろいろ垂れ流されていることも知っている。でも、そんなもんは過去にもあったことで、最近(なぜか)あの頃はよかった的にしばしば引き合いに出されている8UPPERSツアーの時にだって然る声は多々見かけた。おたくって一定層は常にそういう風な感じなんだろう。し、そもそも他人がどう思おうが、自分自身がどう感じてどう思ったかというのが自分にとってもっとも大事なことなんですよね、当たり前で今更なことだけど。だから無理に感化された気になったり自らを歪曲して同調してみたりというのは実に不毛なことだよもっと自分の直感と感性を信じるべきなんだ、と自戒の念も込めて。

で、その楽しいツアーも大阪4公演を残すのみとなった今、移動時間の暇を使って現時点における今ツアーでのある印象深い点についてちょっと書き残しておこうと思う。




過去のツアーのことを思い出した時、そのツアーにおいてもっとも印象的だったことがそのツアー全体のイメージとして浮かんでくる。気がする。
ドームすいませんを思い出そうとすると縦縞と(虎じゃなくて)ライオンと電飾とドラキュラが浮かぶように、8ESTを思い出そうとするとクルトンとピンクの衣装とジェラワットが浮かぶように、JUKE BOXを思い出そうとするとムビステの上で演奏している七人とフンドシ姿の七人が浮かぶように、関ジャニズムを思い出そうとするとフローズンマルガリータの群舞の記憶を巨大な蛍光千鳥格子が邪魔してくるように、元気が出るツアーが兎にも角にも腸閉塞なように。

で、何年か後に今回のツアーのことを思い出した時に一番最初に浮かぶのはもしかするとこのことなのでは…と思ってしまうくらいに今ツアーにおける渋谷すばる(35歳)のアイドルっぷりが、なんというか、すごい。



最初にそれを感じたのは東京公演二日目のイッツマイソウルの落ちサビだった。


   君を思い出さない

   そんな夜はいらない

   なんだかんだで やっぱ好き←ここまで常に巨大モニターにはカメラ目線のすばるくんの顔のアップ
 
   終日君で←と言いながらカメラに指を指す

だいたいこの「君で」あたりで、会場にいた女子の4割はしんでた。



イッツマイソウルが発売されたのは2007年、今まで幾度となくコンサートで披露されてそのたびに手の振りの左右の順番に困惑させられしばしばパフォーマンスを見聞するどころではなかったこの曲に、未だこんなポテンシャルがあったとは…と驚愕させられるほどの黄色い声がこの日そしてそれ以降も毎回上がっていた。

そう、当初はイッツマイソウルのときくらいなものだったのだ。


それから数日経ったクリスマスイブのナゴヤドーム公演。
例によってイッツマイソウルで6割方の女子の息の根を止めてから数十分後、本編最後のNOROSHIで事件が起こる。例の(?)Nagoya incidentである。実際初日は「大曽根は豪雨」状態だった。

2番のAメロはまるちゃんからはじまりヤスくんへ移り、最後にすばるくんが歌ってBメロに移るという実に素敵な三連チャンなのだけれど、イブの夜に何を思ったのかすばるくんは「あら、控え目なのね、ガールズ?」というこの艶っぽくて挑発的な詞を歌いながら、ものすごく挑発的かつ艶っぽく片目を閉じたのであった。


その瞬間、会場の女子の9割はしんでた。


終演後、生きる屍となり世に放たれた目撃者たちは「すばるくんがあんなことしちゃうなんて(endless)ショック」勢を始め「いや、あれは汗が目に入ったんだ」勢や「ただ目を細めただけちゃうんか」勢、はたまた「間違いない、あれは私にウィンクしてくれたんや」勢や「完全に見逃した絶望しにたい」勢等に分裂し、クリスマスイブの名古屋は更に混沌を増していったのであった。


翌日のクリスマス公演。
前日の答え合わせをするべく、客はその瞬間を固唾を飲んで見守っていた。

もし今日も瞑れば昨日のアレは確信的なそれであろう。しかし別段何もなくスルーした場合は、単なるラッキーウインク、偶然の産物だったのかもしれない…といつも以上に注目されているであろう中ですばるくんが採ったリアクションは、全てを察し理解しているかのような「笑み」だった。


結局昨日のアレは何だったのか判然としないまま、彼は自覚的な角度からの流し目とお手振りと恋ダンスで屍達を煙に巻きつつアイドルとしての偏差値の高さを誇示するだけ誇示して、ふわふわポムポムなクリスマスの夜は終わったのであった。


年は明け、福岡へ。
すばるくん自身「感度が良い」と評していたように、(1月2日のあの件はとりあえずおいておいて)初日から客の反応というか空気感がすこぶる良いように感じた。

(1月2日の件はさておき)福岡は二日間とも大いに盛り上がり、名古屋の衝撃もふわふわ(ポムポム)と薄れかけていた二日目の夜にそれは起こった。
2017年1月3日の夜、福岡最終公演の夜、一月の割に思いのほかあたたかだったその夜、仕事始めを翌日に控え鬱々とせざるを得ない人がたくさんいたであろうその夜に、渋谷すばるさんは「あら、控えめなのね、ガールズ?」と歌いながら、完全に狙いを定めて片方の瞼で目配せ(世間はそれをウインクと呼ぶ)を放ったのであった。
その瞬間、ドームに鳴る爆音など諸共しないほどの悲鳴が上がったと同時に、会場にいた女子の10割が絶命。そう、かの(どの?)Fukuoka incidentである。完全に赤く燃えてゆく福岡の日であった。


名古屋で見た、あまりにもナチュラルでこちらが当惑してしまうような曖昧なそれも曖昧が故にとてもよかった。一方で福岡の確信的なそれは、先の名古屋があってこそのカタルシスでもあった。
どちらもよかった。グッときたし、ドキドキした。魅力的な人っていうのはあんな些細な仕草ひとつで世界を容易く変えちゃうんだな…としみじみ感じた一夜というか二夜だった。


いったいどこまでが想定内でどこからが想定外なのだろう?それは本人にしか分からないけれど、「初老」と呼ばれて久しい35歳のすばるくんのアイドル然とした佇まいや所作で、人が歓喜・驚嘆・号泣(←してる人が本当にいた)している状況というのがそれまでのあれこれを考えるととても興味深く感動的で、いやー芸歴20年超えのナチュラルボーンアイドルの本気ってまじですごいな(渋谷すばるの)魅力がすごいよと改めて思わされた関ジャニ’s エイターテインメントツアーでした。






…とすべてが終わったかのように〆てしまいましたが、まだまだツアーは続いています。
とりあえず、最後まで大倉くんの消化器官が元気でありますように。







*上記の文章は隅から隅まで偏見と主観にまみれたフィクションなので、あえての誇張部分に突っ込まれても対応しかねますのでご了承ください