暇記

カキーン

十五祭と錦戸さん脱退のことを綴る。

覚悟はしていたんです、3月からずーっと。
 
 
 
 

前記事の通りあの3月の報道は当初からほぼ事実だと思っていて、そんなことを微塵も信じていない楽観的な人が嫌味じゃなくて本当に羨ましいと思った。
他方、後から降って湧いて出た大倉くんのそれについては、ガセネタだなという確信があった。
過去の或る事実を元に適当に思いついたストーリーを書き連ねた作文であることは内容からしてあからさまだったので、当該記事を書いた週刊女性のライターはもっと取材力及び文章力を上げた方がいいですよ~とアドバイスをさしあげたいところです今もなお。
 
 
 
すばるくんが脱退した時、自分がエイトと7人の未来を信じ過ぎてしまったから、そしてすばるくんを含めた7人に情が湧きすぎてしまったからつらいのだということを痛感した私は、3月の報道以降大倉くん以外の5人に対しては意識的に目をやらずなるべく心も動かさないようにした。
特に錦戸さんに対しては顕著にそうするよう努めた。
それが”その日”に向けての私なりの自衛策だった。
 
ツアーの申し込み締め切り前に発表があるんじゃないだろうか、ツアー直前に、ツアー初日に…と、来たる”その日”に恐々とする日々。
でも”その日”は一向に来なかった。
終わりの見えない息苦しさとその空気も読まずに絶えずインサートされる事務所のあれこれに対して普通に腹が立ったこともあった。
 
一方で3月の報道がまるっきり虚偽であってほしいと思う自分もいた。
仮に3月の時点ではそういう状況であったとしても、公式発表される時まで翻意する可能性が少しでもあるなら、と。
久しぶりに松竹座に立ったことで思い直さないかなとか、十五祭で気持ちが変わるんじゃないかとか、そういう心変わりを望んでいたのも事実だった。
 
 
十五祭初日、MCや恒例の挨拶で彼らから報道に関する何かしらの、出来れば否定するような言葉が聞けることを願っていた。でも、それはなかった。
いつも挨拶では絶対に生の声を聞かせてくれていたのに、今回は事前に録画されたものを流す仕様になっていた。その映像の中にも欲しい言葉は何もなかったし、錦戸さんに至っては挨拶じゃなくてただのプロローグでしかなく、むしろ確信が強まってしまった。
 
私は大倉くんが脱退したがっているという趣旨の報道はガセだと確信していたけれど、もし6人のうち誰かが抜けてしまった場合、残った人たちで関ジャニ∞を続けていくのかという点については正直不安があった。
休止なのか解散なのかそのどちらであっても、そしてもしグループが継続するということになっても、きっと大倉くんが歌ったり踊ったり所謂”アイドル”に勤しむ姿は当分もしくは二度と見られないのだろうな…と思い、行ける会場は全て行こうと決めた。
有難いことに当たり譲り譲られ譲られ…といった感じで、定価不可相場理解違法売買に手を染めることもなく可能な限り行ける目処がついたので、これで最後かもしれないという心算で十五祭に臨んだ。
 
 
 
一五祭はまさにエイトの集大成といった感じで、最初から最後まで弛むところが一切無い本当に素晴らしい公演だった。
 
久しくお手振り曲やバンド編成へと形が変わっていたズッコケ男道をリリース当初の振りを付けて歌ったり、衣装もその当時のことを思い出させる色合いになっていたり、T.W.Lもお手振りでお茶を濁すことなくちゃんと振り付け通りに踊ったり、ブリュレの最後でちゃんと膝をついていたり、涙雨ではDVDに収録されていない間奏のスタンドマイク芸をちゃんとやってくれていたり…、そういう細かなところへの配慮が個人的には嬉しかった。
他に新旧問わずファンから人気の高い曲をいい具合に散りばめたり、なかなか一度のコンサートでは消化し切れないシングル曲をアンコールでまとめて歌ったり、随所に強い意思と気概と覚悟が見えるとてもいいセットリスト及び演出だなぁと初日に入った時から思った。もちろんその時は、それらのほとんど(もしくはすべて?)が大倉くんの手によるものだとは思いもしなかった。
 
6人の雰囲気も、各地いつも通りといわれればまあそうだったかもしれない。
 
確か名古屋公演から「ここに」の終盤で安田くんが大倉くんのことをハグしに行っていたのだけれど、福岡から同じタイミングで錦戸さんにもハグをしに行くようになって、そういう些細な箇所に何かしらの変化を望まなかったといえばウソになる。
それに限らず福岡では6人の雰囲気がとても良くて、何かあったのだろうかと思ってしまった自分もいた。
覚悟は既にしていたけれど、その自分の覚悟がフイになることを心の片隅では願っていた。
 
 
一ヶ月空いての東京3days。
1日目も2日目も温度が高い、本当にいいライブだった。
自分が想定しているような未来が本当に来るのだろうか?来ないのでは?と軽率に思ってしまうくらいに。
 
2日目の一番最後、大倉くんが客席にむかって「eighter!」と何度も叫んでいた。
今まであまり見たことがないような大倉くんの姿に、ハッと我に返ったと同時に胸がズキンと痛んだ。
もう明日ですべてが終わってしまうんだということを、他でもない大倉くんに実感させられてしまった。
 
最終日。
開演1分前から起こった大きなエイトコール。客の熱量で会場がはちきれそうだった。
コンサートは普段通り進んでいく。
この光景を決して忘れないよう目に脳に焼き付けておかねば…と相当の気合で二人の花を見たせいで、ものすごく肩がこった。
 
アコースティックコーナーでは東京から追加された「蒼写真」を歌っていた。
ギターを弾きつつ顔を歪めて声を張り上げ大サビの「時計の針があの頃までもう一度戻ったとしても(きっと同じ道を選んで悩み歩いてきただろう)」という箇所を歌う錦戸さんを見ながら、このタイミングで残酷なことを歌わせるなぁと思った。
もしこの曲変更を提案したのも大倉くんだとしたら、彼はいったいどんな気持ちで「蒼写真」を選んだんだろう。
 
バンドセクション。
crystal、ローリングコースター、Tokyoholicと続く。
最後の曲は「勝手に仕上がれ」。
 
この日会場に居た人はわかると思うけれど、この曲の最中の東京ドームは、本当に異様な空間だった。
私はあの時の「勝手に仕上がれ」のことを、多分一生忘れないと思う。
 
自分たちのグループ名のアルファベットを叫ぶところでは、全員が「関ジャニ∞」を慈しんでるように見えた。
みんなこれ以上はないという思いで歌い、演奏していた。大倉くんも時折、それまで聞いたことがないリズムでドラムを叩いていた。でも、途中モニターに映ったヨコの顔が、とてもとても、強張っていた。
札幌ではブルースハープの音が聞こえないことにハッとしたりもしたけど、あの時はそれがあったことすら忘れるほどだった。
今まで自分が12年間聞いてきた中で、一番心が揺さぶられる演奏だった。
 
「行かないでTonight 」「終わんないでTonight」に合わせて観客の掛け声がドームに地響きの如く鳴る。
観客の全員が、心から終わって欲しくないと思いながら歌い、叫んでいた。
行かないでって、みんな縋り付くような思いで声を出していた。
本当に、本当に終わって欲しくなかった。
だってこれが終わってしまったら。
 
みんなの思い、願いが充満していたあの時のドームの空気を、錦戸さんはどう感じ何を思ったかのかな。
彼の人生における良い思い出の一つに成っていたら良いな。
 
でも後から思ったのが、あんな奇跡のような空間をもってしても、錦戸さんが翻意することはなかったんだなって。
終わらないでって思ったのは、やっぱりこちらだけだったのかな。
あの時、ほんの一瞬でもいいからそういう思いがよぎっていてくれたならうれしいのだけれど。
 
 

同じ想いで走ったって 同じ道は続かなくって
みじめな姿も見せ合えた あの毎日が遠のいてく
心にこびりついた後悔を捨てて 今はどれだけ泣いてもいい 
「さよなら」

 
 
…「咲く、今。」を本編最後にもってきた彼ら(というか大倉くん)のマゾヒストぶりには驚愕する。
6人ともどんな気持ちで毎公演あれを歌っていたんだ。もし自分なら福岡公演あたりでメンタルが壊死してると思う。
しかし”それぞれの今”がはじまってしまった現状を考えると、結果的にはこの上ない選曲だったとも思う。

最後、ステージが下がる時にモニターに映ったヨコの表情が堪らなかった。
相変わらず素直な人だなと思った。
 
 
アンコール。
極力視界に入れないようにしていたのだけれど、ふと「ひとつのうた」でセンターステージに腰を落とす錦戸さんが目に入った。
終わるような気もしたし、終わらないような気もした。でも、やっぱり終わってしまうんだろうなとその光景を見ながら改めて感じてしまった。
 
ダブルアンコールは「無限大」。
久々に聞いたなと思いながら、いろんなことを思い出していた。
私はといえば、大倉くんばかりを見ていた。これが最後かもしれないとこの時は本当に思っていたから。
だから、錦戸さんがステージから深々とお辞儀をしていたらしいことを私は知らない。その時の表情も、どんな様子だったかも。
おそらくこの公演が映像に残ることはないのだろう。彼の関ジャニ∞としての最後の姿は、それをちゃんと目にした人の記憶にのみ残るだけ…というのもなんだか切ないしもったいないので、DVDに入れば良いよね。
 
終演後、モニターに「15:00」の文字。毎公演、開演15分前から映し出されていたカウンターだった。
15から16へ「To be continued…」。上がる歓声。私は素直に「あ、続くんだ」と思った。
人数はどうあれとりあえず関ジャニ∞は続くんだ、と。正直終わるか止まるかと思っていたので、ある意味予想を裏切られた感じがした。
 
あれを見て6人が、6人の関ジャニ∞がこれからも続くと思った人もたくさんいたんだろうな。私も文字を見た刹那そういう思いが一瞬だけ過ったけれど、でも。
私の知っている関ジャニ∞や大倉くんは、いつだってファンに対しては言葉を尽くすことを忘れず誠実でいてくれて、ことグループに関しては無駄な予断を一切持たせない人たちだった。
その人たちがここまで口を慎み否定をしないということは、もうそういうことなんだな、と。
 
 
 
報道が出た3月から9月5日の午後4時まで、真綿で首を絞め続けられているようなこの期間は本当にしんどかったし、その間があまりにも長かったために完全に疲れ切ってしまっていた。
さっさと白黒つけろよと思ったことも一度や二度ではなかった。
こんな状態のまま放置し続けているエイトのことを、はじめて不誠実だと思ったこともあった。
でも、記念すべき十五周年の「十五祭」を彼らがとても大事にしていて、せめてそれが終わるまではファンに夢を見続けてもらいたいという大倉くんの真摯な思いがその後配信された映像から、ラジオで読まれた手紙から十分に伝わったので、もうすべてを許そうと思った。
彼らもファンと同じく、それ以上にしんどかったであろうことが端々から感じられたから。
 
先の自衛策が功を奏してか、メールを見たときもHPでお知らせを見たときも動揺せず涙もまったく出ず、「あーやっぱりな」感の方が強かった脱退・退所発表及び5人による配信動画。
とはいえ、まさかそこで2周目の47都道府県ツアーが発表されるなんて爪の先ほども思わなかったので、情緒が乱れきったまま翌々日のオールナイトニッポンを聞くことになったのでした。
 
そのことについてはまた後日。
 
 
 
 
 
 
 
 
錦戸亮さん、15年間関ジャニ∞にいてくれてありがとう、長い間お疲れさまでした。
あなたがNEWSとの掛け持ちで本当に本当に大変だったこと、掛け持ちしていた期間およびNEWSを脱退して一つに絞ってから以降も自分自身の仕事を頑張りつつエイトをちゃんと大事にしてくれていたこと、曲を作ってしまうくらい7人のエイトに永遠を望んでいたこと、すばるくんが抜けたあと一生懸命気張っていたこと、全てちゃんと見ていたし知っています。
しかしながら人は、人の気持ちはやっぱり時間とともに変わってしまう。
でも、変わってしまっただけでその時の気持ちは決して嘘じゃなかったはず。
 
あの日描いた理想まで、貴方がいつか辿りつけることを心より願っています。