暇記

カキーン

「蜘蛛女のキス」千穐楽の本編以外のことについて綴る。

タイトル通りで、本編のことやお芝居それ自体のことはまた別の機会に反芻しつつ残すとして、それ以外の部分を、記憶や感覚が薄れてしまう前に…というそれだけのためだけの備忘録。

 

 

カーテンコール。
初日は、3回はやり過ぎちゃう?って本人も思ってそうな感じで(扉の締め方とか)ちょっと笑っちゃったんだけど、それ以降もだいたい3回で3回目にスタオベっていうのが定着してたっぽかった。

 

千穐楽1回目のカーテンコールは、ごく普通に拍手の中大倉くんといっけいさんが舞台上に出てきて会釈して捌けていった。


2回目からほぼみんな立っていて、私も泣き笑いのひどい顔を晒しつつスクッと立ち上がった。いつもはお約束化しているスタオベに辟易してる部分も無きにしも非ずだけど、この日はもう全力で、心からのスタンディングオベーション


3回目のカーテンコール。
大倉くんといっけいさんが目を見合わせて笑顔で心臓をトントン。モリーナがヴァレンティンに教えてもらった「人としての尊厳」を確認するときの仕草。
私は正直、この日大倉くんはカーテンコールで感極まって泣くんじゃないかなと思っていた。何せ初めてだし、最後だし、こみ上げてしまうんじゃないかなって。だってほら、あの人(黄色い)タオル王子だから。
そんなこちらのさもしい考えを余所に、3回目のカーテンコールが終わっての去り際、大倉くんは(黄色い)タオルで目頭を抑えることもなく、何度も何度も、力強くガッツポーズをしながら舞台から捌けていった。その後ろ姿を見て沸き上がる拍手と歓声。声にはせずとも、やり切った達成感や充実感、それを意気揚々と誇示する頼もしさがそのガッツポーズから溢れていて、こみ上げるものが抑えきれなかったのは大倉くんではなく私の方だった。

 

鳴り止まない拍手。4回目のカーテンコール。
大倉くんが目配せしつつ演出家の鈴木裕美さんを舞台に招き入れる。下手側に遠慮がちに立つ鈴木さん。
「今日をもって、ヴァレンティンの中の人をみなさんにお返しします!」といっけいさん。笑いながら拍手を送る観客。そんなことをわざわざ言ってくださるいっけいさんは、本当に理解のある優しい方だなと思った。これには大倉くんも鈴木さんも笑っていた。
「いっけいさんが『どうしても言いたいことがある』って言ってたんですが…」と予想外の言葉に笑う大倉くん。
大倉くんは、鈴木さんといっけいさん二人共自分が舞台を嫌いにならないようにと気遣ってくれたと冗談交じりに言った後、「舞台を好きになりました」「また、大倉忠義じゃない別の人間として皆さんの前に立てるのを楽しみにしている」と穏やかに堂々と挨拶をしていて、私はもう、その言葉が聞けただけで感無量だった。

 


楽日前日の17日、私はアンケートに「大倉さんが舞台でこんな風にお芝居をされるなんて夢にも思わなかった(←失礼では)、もし初日に感じた楽しいという気持ちが最後まで少しでも残っていたなら、また舞台をやって欲しいといちファンのエゴに過ぎませんが心からの気持ちとしてお伝えしたい」という旨を高速で綴り、終演後、入口のトレイに置いた。

 

今回蜘蛛女のキスをやるにあたり受けた取材の中で…まあこの話は既出ではあるものの、大倉君は「以前の舞台でシリアスな場面なのに自分の芝居で笑いが起こったことがトラウマになっていてそれ以降舞台は避けてきた(意訳)」ことを口にしていた。
勿論それが全てではないにせよ、その体験が今迄舞台をしてこなかった理由の一つであることは明らかで、やはり偶然やこちらの思い込みじゃなく彼は態と舞台と距離を置いてきたんだなとそれまでのことに合点がいったと同時に、舞台に対して自覚的にネガティヴであるという事実にそれを長い間欲してきた身として「Oh...」となった。

今回無事にこの舞台をやり終えたとしても、そのネガティヴが膨れ上がったり、減ったにしても未だそれが残っていたりしたら次はもうないのだろうし、そう成ってしまったとしたらとても寂しいし何より絶…望……とスタートする前から徒らに気を揉んでいたりもしていた。
故に、初日が終わった直後の生放送で「楽しかった」っていう言葉を聞いたときは素直にうれしかったしホッとした。とはいえ、あれから日も経って回数も重ねている。その間芝居があれだけ変化しているのだから、本人の心境も変化しているやもしれぬ…と、恐々でもこちらの欲求も加味して図図しく書かせていただいたのが前述のそれだった。

だから、カーテンコールで本人から「舞台が好きになった」という言葉に加えて「また舞台をやりたい」っていう意思をあんな素敵な表情で伝えてもらえて、なんか…もはやこれは、私自身のジレッタなのでは?!と思うくらいに心底嬉しくて、夢のようだった。

 

3月28日に新聞発表されてから三ヶ月弱、本当にあっという間だった。
始まる前は、他の二つとちがって大阪公演もないし大阪在住の社会人はそんな頻繁に東京にも行けないし、この記念すべき"初主演舞台"をちゃんと堪能できるのだろうかと思っていたのだけれど、気がつくとまるで難波から梅田へ行くかの如し毎週カジュアルに東京へ行っている自分がいた。成る程、私はとどのつまり大倉担なのだな…ということをこれでもかというくらいに実感させられた22日間だった。エイトのコンサートでもほかのメンバーの舞台でも感じたことが無かった感動を今回蜘蛛女のキスを見るたびに頂戴できて、その最たるものが千穐楽だったように思う。
あの場で他でもない本人から直接あの言葉を聞けてよかった。うれしかったし安心した。今なら何の悔いもなく担降りできます(しないけど)。

 

大倉くんの舞台初主演が蜘蛛女のキスで、共演者が渡辺いっけいさんで、演出家が鈴木裕美さんで本当によかった。もしそうじゃなかったら、最後にあの言葉が聞けたかどうかなんて分かったもんじゃない。だから、良かった。

 

 

ヴァレンティン、モリーナ、短いけれど幸せな夢をどうもありがとう。さようなら。

…なんて永遠の別れを覚悟したものの、ジャムツアーのグッズでヴァレンティン仕様の大倉くんに遭遇する予感がしてならないのですが「それはまた別の話だ」と私の中のヴァレンティンが言っているので、へば。